『神様』なんて信じちゃいないのに『お守り』を提げているのは、
あいつを感じる物が他に無いから。
忌々しい王様の所為で、俺の国はまっぷたつに別れた。
フェリア族は宮殿がある南側に、クルド族や混血は荒地がある北側に。クルドは昔から知恵をもって生き延びてきた民族だ。それを疎まれ、荒地に追い遣られたところで、絶滅なんてことにはならなかった。
俺は五つだった。父はフェリアの生まれで、母はクルドの生まれだった。王族に仕えていた父は、母の生まれを偽り、夫婦で南に残った。
俺は母の妹に預けられた。仕方なかったのだ、母の外見はフェリアでもクルドでも通ったが、俺は翡翠色の瞳というクルド特有の外見だった。
父は野望を果たしたら、必ず迎えに来ると言った。
南と北は行き来を禁止されていた。
父の野望は、子供じみた考えしかもたない王族を抹消することだった。
フェリアの子供がひとりいた。
クルドの馬鹿が、攫って来たのだった。
ラピスと名付けられた。
フェリア特有の藍色の瞳から、宝石ラピスラズリを連想させたからだ。
ジェイドという名が俺の名だった。ラピスと同じく、瞳の色から名付けられた。
その事がきっかけで、俺逹はすぐに仲良くなった。
「ラピスは『神様』を信じてるのか?」
「どうしてそんな事訊くの?」
「『お守り』してるから」
「信じてるよ」
「どうして?『神様』なんていない―もしいたら、フェリアの王様は『天罰』を受けてる筈だろ」
フェリアの王様は幸せだった。
非難する賢者はもういない。
宝石は溢れるほど出土した。
俺の父は知っていた。宝石の岩盤のしたに、有毒ガスが渦巻いている事を。
ラピスは美しく成長した。
そしてとうとうフェリスの輩に発見されてしまった。
連行されていく時、ラピスは俺に『お守り』を投げ渡した。
だからこれは神様への祈りの為じゃない、あいつへの誓いの印なんだ。
『必ず迎えに行く』
To be continued...
あいつを感じる物が他に無いから。
忌々しい王様の所為で、俺の国はまっぷたつに別れた。
フェリア族は宮殿がある南側に、クルド族や混血は荒地がある北側に。クルドは昔から知恵をもって生き延びてきた民族だ。それを疎まれ、荒地に追い遣られたところで、絶滅なんてことにはならなかった。
俺は五つだった。父はフェリアの生まれで、母はクルドの生まれだった。王族に仕えていた父は、母の生まれを偽り、夫婦で南に残った。
俺は母の妹に預けられた。仕方なかったのだ、母の外見はフェリアでもクルドでも通ったが、俺は翡翠色の瞳というクルド特有の外見だった。
父は野望を果たしたら、必ず迎えに来ると言った。
南と北は行き来を禁止されていた。
父の野望は、子供じみた考えしかもたない王族を抹消することだった。
フェリアの子供がひとりいた。
クルドの馬鹿が、攫って来たのだった。
ラピスと名付けられた。
フェリア特有の藍色の瞳から、宝石ラピスラズリを連想させたからだ。
ジェイドという名が俺の名だった。ラピスと同じく、瞳の色から名付けられた。
その事がきっかけで、俺逹はすぐに仲良くなった。
「ラピスは『神様』を信じてるのか?」
「どうしてそんな事訊くの?」
「『お守り』してるから」
「信じてるよ」
「どうして?『神様』なんていない―もしいたら、フェリアの王様は『天罰』を受けてる筈だろ」
フェリアの王様は幸せだった。
非難する賢者はもういない。
宝石は溢れるほど出土した。
俺の父は知っていた。宝石の岩盤のしたに、有毒ガスが渦巻いている事を。
ラピスは美しく成長した。
そしてとうとうフェリスの輩に発見されてしまった。
連行されていく時、ラピスは俺に『お守り』を投げ渡した。
だからこれは神様への祈りの為じゃない、あいつへの誓いの印なんだ。
『必ず迎えに行く』
To be continued...
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