美しい物もありすぎればただ派手なだけで、ギラギラと怒りを助長するだけだという事を私は学んだ。
お涙頂戴の本から目を上げると、
聞き慣れた、もとい最近唯一聞く声がした。
「あれ?泣かないの?」
「泣くなんて事とうの昔に忘れました、陛下」
女は誰だってこういう物を読んだらメソメソ泣くとでも思っているのだろうか。
昔はよく泣いた。
まさか0歳の時の記憶はないし、私にとっての故郷はフェリアの土地ではなく、クルドの土地なのだ。物心がついた時にはあそこにいたのだから。
帰りたかった、逢いたかった。
暫くして、気を紛らわすために王室内の図書館へ赴き、本を読み漁るようになると、私は恐ろしい現実を知った。
王様の大好きな宝石の岩盤の下には、有毒ガスが渦巻いているのだ。
こんな大事な事を、王室内の誰も知らないのだろうか。ちょっと資料を紐解けばわかる事なのに。
仕方がないのかもしれない。今まで地道な努力の大切さをよく知り、忠告してきた賢者は、北にいるのだから。
まったく、子供じみている。
フェリアとクルドの違いを指摘されて、嫉妬し、王室の重役から赤ん坊ひとりに至るまで、全部追い遣るなんて。
「ラピスって可愛くないね」
「有難う御座います、陛下」
「褒めてないよ、僕」
泣く事が可愛いなんて、考えた事もなかった。
キラ=オブ・キング、貴方は何処まで偏った考えしか持っていないのか。
幼ない子供のような王は、私と同い年で15歳だと聞いた。
はっきり言って鯖を読んでいるのではないかと思った。私とてまだ子供の年齡に入るとは思うが、王はもっと幼なく思えた。
ジェイドが此処から出してくれると信じている。
でもそれは難題だ。
古代魔術師がかけた呪いが、この城を護っている。
呪いは謎掛けで、解けた者は1人も居ないと聞く。最近は誰も挑戦すらしていないらしい。
はたしてジェイドに解けるだろうか。
まあ、王よりは見込みがあるだろう。
古代魔術師もジェイドと同じクルドの人間だと図書館の本に書いてあった。
結局、いくら嫉妬したところで、フェリアの王様はクルドにお世話になっているのだ。
それを追い遣るとは、なんと罰当たりな。
ジェイドはもう、北と南の境まで来てくれているだろうか。
魔犬に襲われていないといいが。
あの地域は黒い生物の楽園だから。
でも一番黒い生物は、傍らのベッドで眠る、王なのだ。
無知は時に悪魔的な考えを呼び起こす。
幼ない王は、その悪魔に取り憑かれているのだ。
時に色の多い宝石の中では、黒が一番目立ち、美しく見えるかもしれない。
でも所詮黒は黒。
悪魔を象徴する色なのだ。
To be continued...
お涙頂戴の本から目を上げると、
聞き慣れた、もとい最近唯一聞く声がした。
「あれ?泣かないの?」
「泣くなんて事とうの昔に忘れました、陛下」
女は誰だってこういう物を読んだらメソメソ泣くとでも思っているのだろうか。
昔はよく泣いた。
まさか0歳の時の記憶はないし、私にとっての故郷はフェリアの土地ではなく、クルドの土地なのだ。物心がついた時にはあそこにいたのだから。
帰りたかった、逢いたかった。
暫くして、気を紛らわすために王室内の図書館へ赴き、本を読み漁るようになると、私は恐ろしい現実を知った。
王様の大好きな宝石の岩盤の下には、有毒ガスが渦巻いているのだ。
こんな大事な事を、王室内の誰も知らないのだろうか。ちょっと資料を紐解けばわかる事なのに。
仕方がないのかもしれない。今まで地道な努力の大切さをよく知り、忠告してきた賢者は、北にいるのだから。
まったく、子供じみている。
フェリアとクルドの違いを指摘されて、嫉妬し、王室の重役から赤ん坊ひとりに至るまで、全部追い遣るなんて。
「ラピスって可愛くないね」
「有難う御座います、陛下」
「褒めてないよ、僕」
泣く事が可愛いなんて、考えた事もなかった。
キラ=オブ・キング、貴方は何処まで偏った考えしか持っていないのか。
幼ない子供のような王は、私と同い年で15歳だと聞いた。
はっきり言って鯖を読んでいるのではないかと思った。私とてまだ子供の年齡に入るとは思うが、王はもっと幼なく思えた。
ジェイドが此処から出してくれると信じている。
でもそれは難題だ。
古代魔術師がかけた呪いが、この城を護っている。
呪いは謎掛けで、解けた者は1人も居ないと聞く。最近は誰も挑戦すらしていないらしい。
はたしてジェイドに解けるだろうか。
まあ、王よりは見込みがあるだろう。
古代魔術師もジェイドと同じクルドの人間だと図書館の本に書いてあった。
結局、いくら嫉妬したところで、フェリアの王様はクルドにお世話になっているのだ。
それを追い遣るとは、なんと罰当たりな。
ジェイドはもう、北と南の境まで来てくれているだろうか。
魔犬に襲われていないといいが。
あの地域は黒い生物の楽園だから。
でも一番黒い生物は、傍らのベッドで眠る、王なのだ。
無知は時に悪魔的な考えを呼び起こす。
幼ない王は、その悪魔に取り憑かれているのだ。
時に色の多い宝石の中では、黒が一番目立ち、美しく見えるかもしれない。
でも所詮黒は黒。
悪魔を象徴する色なのだ。
To be continued...
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