まったく、可哀想な奴等だ。一番の魔物はコイツ等じゃなくて、王様に取り憑いている奴だろ?
南と北の境は石を積み上げて出来た、ゴツゴツした壁で、結構簡単に登れる物だ。
見張りの兵隊も居ない。
居るのは、魔犬だ。
牙を剥いて俺を睨みつけている。―何処か哀しげな瞳をして。
俺は竪琴を取り出して詠い始めた。
俺の職業は、吟遊詩人だ。
『何も知らされてはゐないその瞳
哀しげに光るその瞳
なあ、主人はなんと言つたんだい?
疑問を抱く事もしない君達
嗚呼なんて愛しいんだらう
でも可哀想なんて言はないさ
それこそプライドに障るだらう?
さあ、おいで歌を歌はう
愛しき者達
歌を歌はう』
詠い終わった時、すでに魔犬達は大人しくなり、甘えてくる奴も居た。
もしかしてコイツ等は、優しい言葉を掛けて貰った事が無いんではないだろうか。
ふとそんな考えが頭を過ぎった。
北と南の境が無くなったら、コイツ等にいい飼い主を探してやろう。
魔物使いは今でも居るからな。
ラピスを助け出したら、王様には、誰か信頼出来る賢者が必要だな。
そうしたらこの国もよくなるだろう。
故郷は誰でも持っている。
其処への愛情と共に。
誰かへの愛情と共に。
南と北の境は石を積み上げて出来た、ゴツゴツした壁で、結構簡単に登れる物だ。
見張りの兵隊も居ない。
居るのは、魔犬だ。
牙を剥いて俺を睨みつけている。―何処か哀しげな瞳をして。
俺は竪琴を取り出して詠い始めた。
俺の職業は、吟遊詩人だ。
『何も知らされてはゐないその瞳
哀しげに光るその瞳
なあ、主人はなんと言つたんだい?
疑問を抱く事もしない君達
嗚呼なんて愛しいんだらう
でも可哀想なんて言はないさ
それこそプライドに障るだらう?
さあ、おいで歌を歌はう
愛しき者達
歌を歌はう』
詠い終わった時、すでに魔犬達は大人しくなり、甘えてくる奴も居た。
もしかしてコイツ等は、優しい言葉を掛けて貰った事が無いんではないだろうか。
ふとそんな考えが頭を過ぎった。
北と南の境が無くなったら、コイツ等にいい飼い主を探してやろう。
魔物使いは今でも居るからな。
ラピスを助け出したら、王様には、誰か信頼出来る賢者が必要だな。
そうしたらこの国もよくなるだろう。
故郷は誰でも持っている。
其処への愛情と共に。
誰かへの愛情と共に。
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